自分を愛する

 

幸か不幸か、私は親にはならなかった。

主治医に、減薬して子供を産む道を進められたが、夫婦で話し合い結局子供はつくらないことに決めた。

私は子供を産み育てることが非常に怖かった。父との葛藤の真っ只中であったし、果たして自分と同じような障害を持って生まれた場合、きちんと責任を持って子を育てて行けるか想像することも出来なかった。

 

長い間の父との葛藤が、心の中で終わったとき、初めて親の視点からものを見ることができた。

私には姪がいるが、姪と関わり、その親である姉との関わりの中で、それまで見えなかったものや、考えもしなかったことをふと感じる瞬間がある。

 

不思議と自分の心が納得しない間は、姪を見ていても何か不思議な動物でも見ているような感覚があった。

特に姪の鳴き声には恐怖を感じたものだ。とても、私の心を乱れさせた。

姪に対して苦手意識を感じなくなったのは、ほんの最近である。

子供を素直に可愛いと感じる。

それは、少なからず自分を愛せるようになったことと関係していると思う。

 

旦那との結婚生活が波乱に満ちていたのも、父との関係を見直すきっかけになったと感じている。

 

それら全てのことが、自分の過去を洗い出すきっかけとなり、結果的に自分の過去もそれなりに幸せに満ちていた、とあらためて考え直すことに至ったのだと感じる。

 

現在の生活がどうあれ、過去を受け入れ、自分を愛する感覚を味わえる今こそが、一番幸せだと感じている。

 

自分にばかり使っていた、時間とエネルギーを他にも向けて使って生きていきたい。

 

人の生きてきた道には本当に無駄がない。

 

過去のどの時間も、今に導かれる布石だったかのように感じられる。

 


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