それぞれの生き方
私は昔、自分は路上生活者になると確信していた。そういう人を見かける度に、未来の自分の姿だと切なくなったものだった。
あなたは過去にどんな未来を想像していただろうか?人生にはまさかの坂があるという言葉に、本気で笑った想い出がある。
私の最大の「まさか」は結婚したことだ。まさに「まさか」だ。てっきり路上生活者になると思っていたのに、雨風しのぐ屋根の下に住んでいて、食べ物に困ることなどない。
結婚生活にはどこの家でも様々な問題があると思うけれど、そんな時に少なからず不満が生まれる。そういう私もいつも不満を口にしている。もともと路上生活しか思い描けなかったのに、贅沢になったものだと我ながら思う。
どうしてこう欲というものは膨らんでいくのだろう?人間は進化していくことを求めるから、当たり前だとは思うけれど、私に限って言えば欲を持つだけの努力をそれほどしてこなかったので、文句をいう筋合いなどないかもしれない。
少なくとも欲を持つだけの努力は必要だと思う。
今の私はどうだろうか?やはり昔と変わっていない。すべてが諦めることから出発している。自分には生きるエネルギー自体が圧倒的に不足していると思う。万年エネルギー不足だ。
前向きに生きている方がこの文章を読んでしまったら、不快に違いない。
自分にエネルギーが足りないと気づいてから、できるだけ省エネで生きようと決意した。自分の出来るだけのことしかやらない。決して無理はしない。
そんな生き方もある。